厚岸水鳥観察館は1993年4月12日にオープンし、今年、末広がりである8年目にして めでたく、厚岸水鳥観察館情報誌 ”別寒辺牛” を刊行することができました。厚岸湖及び別寒辺牛湿原に関する自然情報、イベントなどを紹介していきたいと思います!!!
???????????? 別寒辺牛って、なに ?????????????
まず、「別寒辺牛」は、「ベカンベウシ」とよみます。とてもユニークで不思議な名前ですよね。厚岸にある、湿原と川の名前(別寒辺牛湿原・別寒辺牛川)で、北海道の先住民であるアイヌの人たちが付けた地名です。「ベカンベウシ」は、一般には「ひしの実があるところ」という意味ですが、厚岸では実際にひしの実を見ることは希なようです。でも、もう1つの「水面を通ったところ」という説では、「アイヌの人たちがひしを求めて水上を通ったがひしがなかったため名付けられた」ということなので実際の厚岸の状態に合ってきます。はっきりと一つの意味には絞れませんが、発音、意味ともにミステリアスな魅力ある湿原です。
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今年の冬は例年よりも暖かく、早々に春がやってきました。厚岸湖・別寒辺牛湿原では冬の使者であるオオハクチョウが極東ロシア方面へ北上し、かわりに当観察館周辺に毎年縄張りを持つタンチョウが阿寒・鶴居給餌場などから戻り、ただいま抱卵中です。
別寒辺牛湿原全体で繁殖しているタンチョウは「約30つがい」(30組の夫婦)います。その内、観察館から見ることができるタンチョウは2つがいあり、去年は幸運にも当観察館がオープンして以来初めて両つがいとも子育てに成功することができました。
(各1羽づつ)
それまでは、ヒナがまだ小さい時、キツネに持ち去られたり、ヒナまたは幼鳥が列車に跳ねられたりして、子育てが成功したことはなかったのです。
さて、今年も両番の子育てが成功するのを祈りながら、観察館一同、見守っていきたいと思います。
3月 繁殖のため給餌場から湿原に戻ってくる。
4月 頻繁に交尾をし始め、巣を作り始める。
その後卵を産み、抱卵。(平均1.8個)
5月 約1ヶ月間抱卵し、ヒナが生まれる。
6月 ヒナは何でも食べて(タンチョウは雑食)どんどん育つ。
7・8月 〃
9月 ヒナが飛べるようになる。
(ヒナが飛べるようになると幼鳥と呼ぶ。)
10月 幼鳥は縄張りを目一杯使って飛行訓練するようになる。
11月 道東各地に分散していたタンチョウが移動を開始。
12月 中旬には縄張り周辺の湿原は氷結。餌がとれなく
なるので、阿寒・鶴居の給餌場へ移動。
1月 主に給餌場付近で、越冬。
2月 たまに、暖かい日に繁殖地へ偵察に来る。
「このようなスケジュールを毎年繰り返します。当館では現在、抱卵の様子を見ることができます。「
☆☆☆自然の中で野鳥を観察しませんか☆☆☆
毎月1回、「野鳥観察会」を行っています。4〜11月までは、森の中を歩きながら野鳥を、12〜3月までは、
厚岸湖で羽を休めている水鳥を中心に観察します。(場所は月ごとに変わります。)
◇5月11日(土)午後1時30分から3時30分まで
集合場所:酪農ふれあい館 観察場所:ポンルークシュポール(ポンノサワ) 募集人数 30名
服装:歩きやすい服装と靴で 持ち物:双眼鏡、図鑑など(貸出用双眼鏡と図鑑あり)
申し込み方法 : 電話で水鳥観察館までご連絡下さい。
◇きのこの森づくり
ミズナラの木に穴を開け、その中にシイタケのできる菌を入れ、「ほだ木づくり」をします。
5月11日(土)午前9時30分から12時まで 場所:森林センター 募集人数:25名
問い合わせ先 : 森林センター TEL (0153)52-6823
又は 役場環境政策課林政係 TEL (0153)52-3131
◇厚岸町クリーン作戦
水鳥観察館から下流の湿原の清掃を行います。
5月12日(日)午前9時から10時頃 集合場所:厚岸町役場
問い合わせ先 : 厚岸町環境政策課廃棄物対策係・環境対策係 TEL(0153) 52-3131
(館長から一言)
当館は、ラムサール条約登録の別寒辺牛湿原や周辺の自然環境の保全を図る目的で、環境省が設置し厚岸町が管理している施設です。湿原の浄化機能は、その昔蝦夷の3絶と称讃された厚岸カキをはじめ、厚岸湖・厚岸湾などの水産資源増殖に大いに役立ち町の産業を支えている、湿原やそこに棲む生物が私たち地域の人々にたくさんの恩恵を与えてくれていることは言うまでもありません。本館の活動を通じ、特に、次代を担う子供たちや、多くの人に厚岸の貴重な自然を見て知ってもらうことにより、自然を大切にする心が少しでも育ていけばと思います。8年間大事に蓄積してきた情報をこの「館だより」で、これからは別寒辺牛川の流れのようにとぎれなく、永遠にとまでは言えませんが末永く提供できればと思います。