3月は、厚く湿原や川を覆っていた雪や氷がとけ始める季節。
さて、ここに住む生き物たちにはどんな変化が出てくるでしょう?
◯カモ類
・オオハクチョウ
別寒辺牛川の氷がとけて、湿原が姿を現してくるとすぐにオオハクチョウの大群がやってきます。先月号でも書いたように、やっぱり川の方が好きなのでしょうね。河口付近ではアマモ、河川内にはいるとコアマモあるいは水浸しになった湿原で何かの草や根茎を食べています。3月も中旬くらいになると、南に渡っていたハクチョウのシベリアに戻る群も加わり、一層にぎやかになってきます。
・他のカモ類
氷がとけた瞬間に一番元気が良いのは、アイサと言われる魚食性のカモたち。特にミコアイサ、カワアイサは割れた氷の間を縫うように潜水しながら魚を追いかけています。たぶん割れた氷の下にはたくさんの魚がいるのでしょう。
その他、オオハクチョウと同じく、越冬のため南に渡っていた幾種ものカモたちが通過していきます。
◯ワシ類
氷下網漁の最盛期には、厚岸湖氷上で大にぎわいだったオオワシ・オジロワシたちも、成鳥は一足早く繁殖のためにカムチャツカ方面へ帰ってしまっています。幼鳥はのんびりともう少し厚岸湖付近に居座っています。
◯エゾシカ
厚岸湖周辺で越冬していたエゾシカが薄くなった氷の上、あるいはとけた河川を横断して北上し始めるのもこの季節。観察館前は何十頭ものエゾシカたちの集合場所になっています。でも、川に残っている氷に阻まれて渡りきれずに死んでしまうものも...
◯小鳥たち
大きな鳥ばかり目立ちますが、小鳥たちも同様に渡りの真っ最中です。ツグミはそろそろ見かけなくなり、カケスも山に隠り始めます。その代わりに春を呼ぶ鳥ミソサザイが一番乗りでやって来て、ウソも不思議な声でさえずり始めます。
◯そしてタンチョウ
暖かくなってくると、春の足音に敏感になるのでしょう。タンチョウも、まだ完全にとけきっていない湿原にやってきて、新たな縄張り争いを始めます。鶴居・阿寒方面から繁殖に適した湿原を求めて、去年まで別寒辺牛湿原にいたつがい、もっと良い条件の場所を探すつがい、まだまだ青臭い若造...これらが入り乱れてまさに氷上のバトルロイヤル。
さて、もうすぐ本当の春ですね。