1月は白鳥ノロッコ号が厚岸湖岸から別寒辺牛湿原内を疾走しましたが、町内の方も非常にさくさんの人が乗られたことと思います。
車窓から見たオオハクチョウ、1月の前半にノロッコ号に乗られた方は、厚岸湖から少し離れた別寒辺牛川河口の氷のど真ん中にオオハクチョウが約1,000羽ほど集まっていたのをご覧になったと思います。
川幅約1kmもある河口の氷のど真ん中、別に餌がある訳でもないのに、なぜこんなにたくさんのオオハクチョウが集まるのでしょう?
厚岸湖は厚岸湾(海)とつながっている汽水湖ですよね。そのため、海に近い厚岸大橋に近くなればなるほど塩分濃度は濃くなってきます。オオハクチョウはカモの仲間なのですが、海ガモ(行動の中心が海であるカモ)ではありません。つまり、塩水はあまり好きではないみたいなんです。皆さんも、のどが渇いているときに塩水を飲みたくはないですよね。
そうなるとオオハクチョウはどこが好きかというと、厚岸湖で常に塩分濃度が低い場所...それは常に真水が流れ込んでくる別寒辺牛川の河口部分になります。
塩分濃度が高いと、その水は凍りにくくなります。逆に真水はすぐに凍ってしまいます。12月頃から別寒辺牛川も凍り始めますが、そのころ河川内にいたオオハクチョウは徐々に塩分濃度の濃い部分に追いやられていってしまいます。そうして12月後半頃には川はほとんど結氷してしまって、オオハクチョウは完全に川から閉め出されてしまいます。
でも、オオハクチョウもこのまま黙って塩水の場所にいるわけではありません。厚岸湖は海とつながっているため潮の満ち引きの影響を受けます。その結果、張ったばかりの氷は水面の上下運動で簡単に裂け目が出来て、水が湧いてくるのです。オオハクチョウ達はちゃんとそのことを知っているようで、上げ潮の時刻になると別寒辺牛川河口の水の湧き出る場所に集結して、水を飲み、水浴びをしています。
しかし疑問に思うのは、潮の満ち引きを覚えていて動いているのか、誰か1羽「おっ、あそこに水があるぞ」と先導しているのか、まさか夜中に月の満ち欠けを見ているのかな?なんて考えるとオオハクチョウもなかなか侮れないなぁと思ってしまう...