球状ジュズモ、ジュズマリモ?
今年の5月21日、山菜取りのため小型船舶で別寒辺牛川河口に舟をとめていた若竹町の竹中三男さんが、河岸で拾ったマリモ状の藻の集まりを観察館に持ってきてくださいました。形状は、長径約8cm、短径約6cmの楕円形で、マリモよりかなり太めの藻により構成されており、その中に海草のようなものも一部見られました。
後日、阿寒町のマリモの学芸員 若菜氏に連絡をとり、若菜氏と共に現場の調査を行ったところ、同様のマリモ場の藻の集合体を複数発見。厚岸湖の周辺に、条件さえそろえばどこにでもある藻の塊らしいことが判明しました。
では一体この藻の集合体は何なんでしょう? 実はジュズモ(正確にはタルガタジュズモ)という藻の集合体だったのです。ジュズモは、厚岸湖のどこにでも生息している藻なのですが、ふだんは岩場などに生えている藻で、マリモのような球形になることはありません。ところが、厚岸湖内の傾斜が緩やかな干潟に常に浜風が当たっているような環境で、ヨシの残骸や、他の海草を取り込みながらコロコロと球状化していった物のようです。
実はこの球状化、マリモ以外の一般的な藻の球化現象のモデルとして非常に重要な情報らしく、また今回発見されたジュズモ以外の藻でも似たような現象を起こす可能性が一年を通してあることもわかりました。これらは今後調査していく予定です。
丸い藻といえば、マリモだけかと思っていましたが、厚岸湖にも、色々な不思議がまだまだあるんですね。