北海道らしい自然って?
北海道らしい自然って、どういうものを想像します?
これからの新緑の季節、広大な農地に防風林、延々と続く牧草地に牛たち。よくありがちな景観ですよね。でもよく考えると農地は人工的なもの、よく使われる防風林は本来北海道にないカラマツ、牧草は外国産、牛はホルスタイン...ありゃ? 中身は北海道固有のものじゃないぞ!!! ふと周りを見渡してみると、国立公園でさえ一部を残してほとんどが一度伐採されたあとの二次林。ん? ではそこに生きている生き物たちは?
アメリカザリガニ、ウチダザリガニ、アライグマ、ミンク、ハルジオン...
どれもこれも日本に本来いないはずなのになぜか日本のどこかの生態系に組み込まれてしまった動植物たち。ペットとして、あるいは養殖のため、または何らかの人為的な経緯で日本に持ち込まれ、あるものは脱走し、あるものは捨てられ、そのまま生き残ってしまった移入種たち。いわゆる帰化動物・帰化植物といわれるもの。
それら移入種により置き換わってしまった日本固有の生物、ニホンザリガニ、エゾタヌキ、エゾクロテンなど、本来その地域の生態系で重要な地位を占めていた動植物が別のものに置き換わる。置き換わっても人間が気づかないものもいれば、ノイヌ、ノネコなんて人間のモラル低下の代表格だし、アライグマのように農作物への被害、伝染病の媒介など、人間にとって直接多大な被害をもたらすものもいる。目に見えなくても、エゾクロテンのように移入種により絶滅の危機にさらされるのものも出てくるし...植物なんて何%が帰化植物なのか、考えただけでも恐ろしい...これでは地球の資産、そして人類の資産でもある遺伝的な多様性なんて保護されるわけないな。
それでは、昔からその姿をあまり変えていない所っていうと...湿原なんですね。構成している生物相に多少の変化はあれ、ヨシ・スゲが中心のこの景色は、何百年、何千年前から変わっていません。今まで、湿原そのものがあまり役に立たない土地とされていましたが、実は湿原は日本でも数少なくなってしまった本来の自然を残す数少ない場所の一つなんです。そう考えると、私たちの住む厚岸町って実はすごい自然環境の残っている所なんですね。