黒いネクタイのシジュウカラ

 シジュウカラは、体長約14cmのシジュウカラ科の野鳥です。非常に優れた適応力を持っており、日本全国だけでなく全世界に広く分布しています。厚岸町では湿原内ハンノキ林からヨシの中、森林や市街地など、至る所で1年中見られる留鳥です。スズメなどと同様、開口部が露出している配管や屋根裏、そして人間の作る巣箱など、どこにでも巣を作るので観察も非常にしやすい鳥です。

 シジュウカラの特徴は、なんと言っても黒いネクタイ。厚岸で見られるカラの仲間にはハシブトガラ、ヒガラ、ヤマガラなどがありますが、似たりよったりのこれらカラの仲間で唯一喉からお腹をネクタイが走っているのはシジュウカラだけです。このネクタイには隠れた意味がありまして、ネクタイが太くて脚の部分で広がっていればオス、細いとメスなんです。じっくり見比べればすぐにわかります。また、ほおの白い部分も目立ち、後頭部の緑黄色のきれいな部分が見えれば、間違いなくシジュウカラです。

 シジュウカラは、冬季は他のカラの仲間と一緒に混群を作って群で移動していることが多いですが、晩冬〜春になると、求愛、そして巣作り、子育ての準備が始まり、「ツツピーツツピー、ツッピツッピツッピ」などとオスのさえずりがにぎやかになります。時に「ジュクジュクジュク」と濁った大きな声で鳴き始めることがありますが、これはシジュウカラの警戒音です。周りに何か外敵がいるときなどに発声します。シジュウカラは、普段は人間の存在をあまり気にしてはいないようですが、繁殖期には案外近寄ってきた人間に対して威嚇していることが多いかも...この濁った鳴き声を聞いたら、これ以上近づかないで下さいね。