オオハクチョウがやって来た

 オオハクチョウの渡りも本格的になってきました。まだ町中からはそれほど増えた感じはないかもしれませんが、別寒辺牛川が凍るまで、数千羽の本隊は河口干潟周辺や河川内水路などで羽を休めています。

 さて、厚岸町にやってくるオオハクチョウは何羽くらいかご存じですか。実は出入りがとても激しいため、まだ完全には把握できていないのです。

 12月中旬に見た目のピークを迎えますが、この時期に北からやって来て、南に渡ってしまうのもピークを迎えますので、ここに立ち寄ったオオハクチョウは実際は見た目より多くなります。おそらく10,000羽前後、あるいはそれを越えていると思います。

 またその年の冬期の気候により、月ごとの飛来数も大きく変動します。暖冬の時には厚岸湖の凍っていない水面が広いため、よりたくさんのオオハクチョウがすごせます。その逆の場合、わずかに残った水面でひしめき合うことになるときには、他の地域に移動してしまいます。あるいは餌が食べられなくて衰弱することも...寒さの厳しかった前シーズンには1,500羽以下まで減少しました。

 下に月ごとの飛来数と状況を一覧にしました。

10月 10日〜20日頃に少しずつシベリア方面から飛来。この月に1,000羽を越える本隊がやってくることもある。
11月 1,000羽を越えるのは初旬。どんどん飛来数が増えてくると同時に、厚岸湖から北海道各地、そして本州方面などに南下するものも多い。
12月 中旬に5,000〜6,000羽。南下のピーク。厚岸湖〜河川下流域全域で見られる。
1月 河川も湖内も凍り始めて2,000〜3,000羽まで減少。これらは湖内で越冬。
2月 厳冬期に氷が張りすぎると、一部は厚岸湖を離れ他地域に移動。
3月 河川の氷が溶け始め、河川内に入り始める。下旬には南からシベリア方面への北上組が徐々に加わる。
先月に引き続いて北上のため一時的に増加。多いときには3,000〜4,000羽。この月で、ほとんどのオオハクチョウがシベリア方面に帰ってしまう。

 寒さの厳しかった10年以上前には、これほどのオオハクチョウは記録されていなかったようです。厚岸湖がこれほどまでのオオハクチョウの楽園になった要因は、あまり喜ばしいことではないのですが近年の暖冬傾向による結氷率の減少の影響が大きいです。野鳥の中継地がどんどん消失していっている現在、幸いオオハクチョウたちにとってこのことは良い方向に傾きました。

 また、大切なもう一つの要因、自然が豊富なため餌であるアマモが確保しやすく、その結果、環境指標としてのオオハクチョウを厚岸町として誇るべきものにしています。