他の鳥の巣に卵を産みつけるカッコウ

 カッコウは体長約35cmのホトトギス科の野鳥です。体は少し青みのかかった薄い灰色で、胸から腹部にかけて横縞が何本か入っています。名前の由来は説明するまでもなく、「カッコウ」と鳴くところからついています。飛行すると翼の形、尾羽の形状、胸の横縞などハイタカ、ハヤブサなど一部猛禽に非常に似ているので見間違えることもありますが、羽の動かし方などじっくり観察するとカッコウだとわかります。夏鳥として全国各地に飛来しますが、北日本や北海道では主に平地の草原や低木林で見られます。実は日本にはツツドリ、ホトトギス(北海道にはいない)という同じカッコウの仲間が生息していまして、それらは姿形はほとんど変わりません。ところが鳴き声はどれも特徴的で、ツツドリが「ポポッ、ポポッ」、ホトトギスが「テッペンカケタカ」などと鳴きます。

 実はこのカッコウの仲間は、他の小型の野鳥の巣に卵を産みつける托卵という行動を行う非常に有名な仲間です。例えば、カッコウは主に北海道ではノビタキ、コヨシキリ、アオジの巣を狙うことが多いのですが、親のすきを狙って卵を産みつけたあとは、その産みつけられた親がカッコウの卵を自分の卵と思いこみ育てていきます。またカッコウの卵の方が、そこの巣本来の卵より孵化するのが早く、孵ったヒナは他の卵を巣の外に排除してしまいます。そして育て親に育てられるカッコウのヒナは、いつの間にか親より大きくなってしまい、巣立ち後もしばらくはずいぶん小さな仮の親より餌をもらって大きくなっていきます。

 厚岸をはじめ北海道では、カッコウは湿原も含めて草原でよく見られます。国道縁の草原でも卵を産みつけようと待ちかまえているカッコウの姿を見かけることがあります。なんだか狡賢いなあと、マイナスイメージを持ちがちですが、これも生き残るための野鳥の戦術の一つです。産みつけられる方も、何とか産みつけられまいといつも頑張っているのです。野生鳥獣のこういう営みで自然は成り立っているのです。