魚取りの名人カワセミ

 カワセミは体長約17cmのカワセミ科の代表的な鳥で、マガモと同様写真やイラストを至る所で見ることができる非常に親しみ深い野鳥です。しかし、野生のカワセミを見ようと思ってもなかなか難しく、その実際の存在はなかなか認識しづらい野鳥でもあります。

 カワセミは日本全国の湖沼や河川に生息していますが、北海道では夏鳥としてやって、土手に穴を掘って巣を作ります。思っているよりも小さい鳥で、日本に生息する同じカワセミの仲間の中でも最小の鳥です。主に小魚を食べており、空中でホバリング(空中停滞)したかと思うとそのまま水面めがけて一直線。非常に正確なダイビングにより大きな嘴で巧みに魚を捕獲します。そして、なんといっても宝石のように青、緑、だいだい色に光り輝く金属光沢の羽の美しさは日本で一番美しい野鳥の部類に入るでしょう。

 羽ばたきは非常に早く、目の前を通り過ぎても一瞬の出来事で何が通過したかがわからないほどすばやく直線的に飛翔します。別寒辺牛川や厚岸湖に流れ込む小川にも多数生息していますが、カワセミのお気に入りのとまり木を見つける以外、なかなかその姿を見つけるのは難しいです。全国的に一時期その数が減ったように思われたこともありましたが、最近は都会の中心部でもカワセミの姿が見られるようになってきているところもあり、カワセミ自身が生息域を拡大したのか、あるいは案外町の中に自然が戻っているのか判断に迷うところです。いずれにしてもカワセミは、警戒心がとても強く環境の変化に非常に敏感な鳥でもあります。その生息地が少し変化しただけでも、来年は来なくなってしまう恐れがあります。この美しく繊細なカワセミをずっと見られるような環境をいつまでも残しておきたいですね。