ずんぐりむっくりなエゾライチョウ

 エゾライチョウは体長約35cm、ニワトリを一回り小さくしたくらいのキジの仲間です。日本アルプスに生息し、同じキジの仲間である冬に全身白色になるライチョウとは種が異なります。

 北海道では、昔から「ヤマドリ」の名で親しまれてきた鳥ですが、本当のヤマドリは本州以南に生息する日本特産の鳥で、北海道にはいません。

 体はずんぐりとしており、全体に焦げ茶っぽい色の鳥です。顔には白いラインがあり、また複雑な模様をしています。お腹には、白、黒、赤褐色の斑模様があり、目の上には赤い部分(毛ではない)があります。足には剛毛が生えていて、足全体を覆っています。

 針広混交林や落葉広葉樹林を好み、カラマツ林などの人工林ではあまり見られません。冬の間は主に樹上で冬芽を食べていますが、一年を通して若い芽や葉、種子や実などの植物質のものを食べます。本来鳥類は、飛行するのに体を軽くしなければならないので、あまり盲腸は発達しませが、繊維質のものを食べているせいか、盲腸が非常に長く(約25cm)、しかも2本もあります。ところが、エゾライチョウは盲腸を発達させることにより、他の鳥があまり利用しない植物の葉などを大量に採餌することで、寒い北の地で生きながらえています。

 鳴き声は、本州のライチョウのしゃがれた、蛙のような声とは大きく異なり、「ピー、ピピピピ」と笛のような鳴き声を出します。また、近くに寄ると、キジのように大きく羽音をたてて急上昇したりします。

 また、積雪が30cmほどになると、夕方、樹上から飛び降り、そのまますっぽり雪の中に隠れてそこをその日のねぐらにしてしまいます。雪の断熱効果を狙った面白い行動です。

 以前は、北海道のあちこちでけっこうな数のエゾライチョウが見られたようですが、現在は、生息地の消滅、生息環境の変化による天敵の増加などの環境の変化や狩猟などにより激減しているようです。ある場所での調査では15年ほどで約10分の1以下にまで減っているそうです。それでも、道有林の中の林道を歩いていると、姿は慣れた人でないと姿の確認は難しいですが、独特の笛のような鳴き声は1〜2時間歩けば聞こえてきます。

 エゾライチョウは、ふだん町の中に住んでいるとまず気付くことのない鳥ですが、厚岸の山の中にはこのような面白い野鳥がたくさんいます。その中には、このエゾライチョウのように数がどんどん減ってきているものも多数います。少し心の中にこのことを止めて置いてくださればと思っています。