森の賢者フクロウ

 フクロウは体長約50cmの留鳥で、その名の通りフクロウの仲間です。お面のような扁平な顔にかわいらしい瞳、お腹の縦縞が特徴です。森の中でじーっと物思いに耽っている様子から『森の賢者』などと呼ばれ、神聖な動物の象徴的存在であります。冬になると、国道沿いの電柱に同じようなお腹が白く縦縞のある鳥がじーっと下を向いているのを見かけますが、あれはワシタカの仲間のノスリといってフクロウとは全く違う鳥です。

 フクロウは、日本全国で見られますが、実は北海道にいるものは亜種のエゾフクロウといい、本州にいるものよりは白っぽいのが特徴です。低山帯の森林に生息し、樹洞に巣を作り繁殖します。民家の近くでもまとまった森林があれば生息していることもありますし、厚岸だと、湿原の中の森林にも生息しています。

 見た目の可愛らしさとは裏腹に、このフクロウの仲間は共通して夜の猛禽類です。つまり肉食動物なのです。フクロウの場合、主にネズミ、両生類、昆虫などを食べますが、夜中に獲物を狙うため発達した独自の体の機能をいくつか備えています。

 まず、肉食動物の特徴ですが、獲物を追うために立体視出来る部分が多くなる両眼視を行うため、顔の真正面に目が二つついています。(カモや小鳥は頭の両側)

 次に、暗闇でわずかな音でも正確に獲物の場所をキャッチするために、耳の位置が左右少しずれています。このズレにより獲物の位置と距離を正確に読みとることが出来ます。

 そして、獲物を捕まえるときに、大きな羽音がすると逃げられてしまいますので、滑空しても風を切る音がしない羽の形状を持っており、これにより相手に気付かれずに接近することが出来ます。

 つまり、フクロウは森の非常に優秀なハンターなのです。

 ところがこのフクロウにも困ったことがありまして、人家近くにも生息しているため、カエルやネズミが道路など開けたところに出てくると、それらを狙って道路に飛び出してきます。夜ですし、車からは一瞬の出来事でしかありません。しかし、このことが原因で交通事故にあうフクロウは後を絶ちません。夜の森林地帯はシカやキツネも出てきますが、フクロウなどの夜行性の鳥もよく出てきます。くれぐれも安全運転を。